僕と喋る猫。

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───そして今日は、クロと会ってから丁度3年目の11月2日。 僕の10歳の誕生日だ。 「ただいま!」 クロがいた事で普段の日常の考え方が変わり、学校での生活も充実していた。 「おかえり。シュン。」 クロは今日も変わらない声で言った。 「ねぇ、聞いてよクロ!今日友達がね、誕生日プレゼントをくれたんだ!」 「へぇ、それはコウからだけじゃなくて?」 クロはからかうように言った。 今まではコウ以外、友達からプレゼントを貰ったことがなかったからだ。 「ち、違うよ。今回は他のみんなからも貰えたんだ。」 そう言いながら僕はクロにプレゼントを一つずつ見せていった。 クロは最初は驚いていたものの、最後は自分のことのように嬉しそうに 「すごい!よかったじゃないか!」 と、言ってくれた。 そして、 「実は僕からもプレゼントがあるんだ。でも、渡す前に一緒に散歩に行かないかい?家の前の坂を登った所にある公園まで。あそこ、1度一緒にいってみたかったんだ。」 と、提案してきた。 僕はすぐにでもプレゼントが欲しかったから 「えーー、、、」 と、乗り気ではなかったが 「今の時間帯は丁度夕日が綺麗だしさ。いいじゃないか。」 と言う、クロの意見に押されて 「もー、しかたないなぁー。」 と、行く事になってしまった。 確かに今は夕日が綺麗な時間帯だから、見てみたいとも思わなくはなかった。 「よし。そうと決まれば早速行こう。」 と、今にでも家を飛び出しそうなクロに急かされ、僕らは家を出た。 家を出て、紅みがかった空を見上げると、ひつじ雲がふわり、ふわりと優雅に泳いでいた。 「綺麗だなぁ、、」 そんなことを呟きながら家の前にある坂を並んで歩いていると、ふとクロが 「君と会ってから、今日で3年経つね。」 と、言ってきた。 「うん。そうだね。あっという間に10歳になっちゃった。」 そんな言葉を返した時、クロの顔が少し寂しさを感じているように見えた。 「どうしたの?クロ。元気ない?」 そう聞くとクロは 「そんな事ないよ。僕はいつだって元気さ。」 と、いつもの優しい顔を見せてきた。 でもその顔は、なぜかいつもと違う気がして、つい 「ほんとに?」 としつこく聞いてしまった。 空の紅みが増していき、僕らさえも染め上げようとしていた頃。 クロは「はぁ、、」とため息をついて言ってきた。 「実は僕、シュンに話さないといけないことがあるんだ。」と
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