僕と喋る猫。

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「うん。今まで言ってなくてごめんね。」 クロは申し訳なさそうに言った。 そして 「でも、前々から言っておくことで、普段の楽しい日常を崩してしまうのは嫌だったんだ。」とも言った。 確かにもっと前から言っていれば、どんなに楽しいことをしようとも「もうすぐ終わってしまう」と虚しさを感じてしまうかもしれない。 しかし、あまりにも突然すぎる別れは、僕の心に寂しさや悲しさと言う負の感情を生んだ。 坂を登りきり、公園の小さな入口を通り過ぎた頃。 「い、いついなくなっちゃうの?」 と、僕は恐る恐る聞いた。 「詳しくはわからないけど、この夕日が見えなくなる頃にはもうダメかなぁ。」 ゆっくりと沈んでいく夕日を見ながらクロはそう言い、その後僕の方を向いて。 「もう公園に着いちゃった。プレゼントを渡さないとね。」 と、言いながら公園の端にある草むらへ走っていき、何かを持ってきた。 「さぁ、手を出して。」 僕は言われるがままに右手を出し、その上にクロはとても小さな紅いビー玉が付いた、ネックレスを置いた。 「、、、!これって、、、」 「ふふっ。びっくりしたかい?君が学校に行っている間に探して、この草むらに隠しておいたんだ。」
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