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「いえ、そんな風には思っていません。ただ少し戸惑っているのかも知れません。あまりにも予想外の展開で、僕自身夢を見ているような気分ですから……。それよりも、ご飯粒、ついていますよ」
伏見は手を伸ばし鴨川の唇の端に付いた寿司メシを抓むと、そのままパクリと自分の口の中に入れた。
「わ、わ、わっ! ふっ、伏見さん、俺、カンドーです! なんかずっと昔から恋人同士だったみたいで。女房みたいで。マジこれ夢なんですかね? あっ、って俺、またはしゃいじゃって……」
ひとり騒ぐ鴨川を前にして、伏見はなにげなくとった自分の行動に驚き赤面して俯いた。こんな自分は初めてだ。照れ臭くてもじもじして、さっきから両手はコタツを出たり入ったりしている。
「ぼ、僕は……」
「好きです。伏見さん」
「え……」
「ついさっき告白したばっかりですけど、何度でも言わせてください。好きです。俺、会社での伏見さんしか知らなかったですけど、今の伏見さん見て、ますます好きになりました。俺、自分の目に狂いはなかったんだな、って思います。伏見さんは素敵でカッコよくて、そしてとても可愛い……」
伏見の顔から火が噴いた、ような気がした。
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