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「う……」
伏見は顔を背けた。化粧をしているのでもマスクを被っているのでもないのだが、素顔を見られてしまったような気がして恥ずかしい。
「でも、そんな笑顔、俺の前だけにしておいてくださいね。ライバルが増えるのは困ります。それでなくても伏見さんには女性ファンが多い」
「な、なにを……」
「これ以上ちやほやされるのを見ると、俺、妬いちゃいますから」
「ば、バカッ!」
また頬が熱くなる。じんわりと汗も浮いてくる。照れたり恥ずかしかったり今夜は忙しい。
「俺だけの伏見さんでいてくださいね」
鴨川の顔が近づいてくる。気持ちの整理もつかないうちに唇を掠め取られた。
「あ……」
「伏見さん、本当に今夜泊まっていってくれますか?」
「う……うん……」
「ベッド、ひとつしかないですけど……」
「あ……」
「一緒に寝てくれます?」
「え……えと……」
再び鴨川の顔が近づいてくる。
「だいじょうぶ。なにもしませんよ」
「えっ?」
「なあんて、ウソ。いっぱい気持ち良くしてあげたい。いいですか?」
「ん……」
小さく呟いて俯こうとすると顎を掴まれた。そのまま上を向かされる。
「嬉しいです、伏見さん」
「か……」
答えようとした唇を塞がれた。
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