烈姫 おまけ

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 伏見の不安を知ってか知らずか、鴨川もガバリと体を起こすと背中から抱きついてきた。 「でも、昼飯くらい一緒に食べる時間ありますよね? どっかで食っていきましょうよ」 「ええ、ご一緒します」 「ホントはもっと長く一緒にいたいんですけど……」 「ダメです。これは上司の命令ですよ」 「うひゃあ、もう厳しいんですね。でも俺、そういうの嫌じゃないです。やっぱりMなのかなぁ……」 「だからM、ってなんなんですか……」 「いいから、いいから。その内わかりますって」 「……わかりたくないような気がします」 「わはは、いいなあそういうの……」 「鴨川さんっ!」  笑い転げる鴨川を促して身支度を整え、連れ立って部屋を出た。  いい天気だ。風は冷たいが心は温かい。人通りの少ない道では鴨川が手を繋いできた。温かくて大きな手。しっかりと繋いでいよう。離さないでおこう。伏見は照れ臭くて俯いていたが、しっかりと心に決めた。  駅へと向かう道を鴨川は回り道をして公園に寄ってくれた。今日はポツリポツリと親子連れや通り抜ける人の姿が見える。 「いませんね、あの猫……」  鴨川がぼそりと呟く。
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