烈姫 おまけ

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               ************ 「あまのじゃくな店だぜ全く。ひとが汗水たらして働いてる時には、昼寝中、なんて札掛けてぐうたらしやがって、こうして世間が休みの時にはしれっと店を開ける。そんなことで客が来るのかよ」  人相の悪い男が呟く。 「いいじゃアないか、こうして正月早々行くところもなくて、暇を持て余してるあンたたちみたいな輩が集まって来てくれるンだからさァ」  カウンターの中で、和装の、どこからどう見ても美人の、ママが毒を吐く。 「ママさんだけじゃないよ、うちの先生もあまのじゃくだよ。休診って札出してるのに、救急バンバン受けちゃって。俺もう朝からバタバタでヘトヘト」  少年のような面差しの青年がバタンとカウンターにもたれた。 「おやまあ偉いねぇ、隣の文句言いゴリラと違ってよく働いたンだねぇ。さあさ、お節お食べよ。手作りだよ。しっかり食べて元気つけておくれね。今日は少しくらい飲ンだっていいんだろ?」  色とりどりの料理の詰まったお重から、少しずつ皿に取り出して前に置く。 「おい、よせよせ、こいつには甘酒で充分だ」 「え、やだよっ、今日は飲む! 明日休みだもん」
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