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やはりあの猫を捜すために寄り道してくれたのだ。お礼をしなければ、と言った言葉を鴨川は覚えていてくれたのだ。
「夜、じゃないと、出て来ないんでしょうか」
「うーん、そうかも知れませんね。そうだ、伏見さん、今週末あたり捜しに来るって言うのはどうですか?」
鴨川が名案でしょう、とばかりに人差し指を立てる。
「それは、週末また泊まりに来ないか、と誘ってくれている、と受け取っていいのでしょうか?」
伏見はわざと意地悪な言い方をしている。どうにも癖になっているようだ。だが鴨川はウキウキと顔を綻ばせた。
「もちろんです。オッケーですか? オッケーですよね?」
「ええ、オッケーです」
つられてしまった。
やりぃ、とガッツポーズをする鴨川の横顔を眺め、会社ではこのペースに乗せられないように気をつけないといけない、でないとバレバレになってしまいそうだ、と伏見は苦い笑いを洩らした。
「じゃ、黒猫捜しは週末ってことで。あー、腹減りましたね。伏見さん、商店街の方へ行きましょう。どこか店が開いているかも知れません」
「ええ、行ってみましょう」
伏見は頷いて鴨川のあとに続いた。
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