烈姫 おまけ

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 東西に延びる長い商店街。  いつもはもっと賑やかなのだろうが、正月の3日ではさすがに閑散としている。人通りもほとんどない。 「あちゃあ、やっぱりどこも正月休みですね、引き返しますか」  そう言いながら振り向いた鴨川の背中の向こうに黒い小さな影が見えた。 「あれ?」 「え?」 「今、猫が見えたような……」 「ホントですか?」  鴨川が伏見の視線を追って前を向く。 「いませんか? 黒猫」 「え? あ! いたいた。いましたよ、黒猫です」  商店街の道の真ん中に、黒猫がまるで置物のようにちょこんと座っている。 「昨夜の猫じゃないでしょうか」 「そうかも知れません。行ってみましょう」  ふたりしてそろりそろりと進む。驚かせて逃げられてしまったら元も子もない。だが、心配する必要はなかった。手を伸ばせば届きそうな距離まで近づいても、黒猫は平然と座っている。 「伏見さん、この猫ですよ。間違いないです。この首輪と鈴、見覚えあります」  鴨川がそう言うと、黒猫はふたりを知っているかのような顔をしてニャアと鳴いた。
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