2228人が本棚に入れています
本棚に追加
春生さんもすぐにメッセージに気付いてくれたのか、すぐに画面に既読のアイコンが現れる。緊張しつつ来週末の予定を聞くと土曜は午後からなら空いているらしい。
さて、この後はどうしよう。文字を打つ指が止まると後ろから母親が「両親が泊まりで出かける事になったから、一人で留守番するんだ」と囁いてくる。それをそのまま打つと春生さんが『充樹君一人で? 大丈夫なの?』と案の定俺を心配する言葉をくれた。
「充樹、寂しいって言うのよ?」
母親に誘導されるがまま、メッセージに『寂しい』と打ち込んで送ってしまってから、こんなの俺らしくないとハッと我に返った。
だっていつもの俺なら『大丈夫だ』と強がってこんな弱音なんて吐かない。春生さんに妙に思われたんじゃないか?
だって既読にはなってるのに春生さんの返事が無い。
慌てて『今の無し!』と送ると春生さんが考え込むようなスタンプを押してくる。
「充樹、ダメよ、ちゃんと言わなきゃ! ここでお誘いよ、一人で過ごすのが怖いから春生さんが泊まりに来てくれたらいいなって。ほら、頑張って!」
母親がポンポンと背中を叩いて激を飛ばしてくれて、もうどうにでもなれと『春生さんに泊まりに来てもらえたら……なんて』と震える指でメッセージを送った。
どうしよう、本当に誘ってしまった。春生さんだっていきなりこんな事言われても困るよな?
断られても仕方ない、そう思ってたのに春生さんからの返事はOKだった。
.
最初のコメントを投稿しよう!