第1章 電子世界で君と出会う

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『もしかして始めたばかり?』 俺の問いにそのドワーフの女の子が『そうです』と微笑む。 確かに頭上に表示されたレベルはまだ7……いや、それよりその名前は何だ。 『豚トロ……さん? 何で豚トロ?』 俺の目の前に長ネギと豚トロが並んでいる。 焼肉屋のメニューか。 『何か可愛いかなって思いまして』 チャットを打つのにも慣れていないのか、しばらくしてから質問の答えが返ってくる。 そして豚トロさんは俺に向かってエモーションでフリフリと右手を振った。 『いい名前だろー。思わずナンパしちゃったわwww』 どうやら長ネギもこの『豚トロ』という名前に惹かれて声を掛けたらしい。 豚トロと長ネギは同じく食材だからな。 別に他人のネーミングセンスまで口を挟む気は無い。 俺の名前だって厨二病臭いか?と自分でも思ったし。 『ドワーフなのに魔職なの? 普通ドワーフは火力職じゃないの?』 ドワーフも魔力はそんなに低くはない。 でも魔職をやりたいなら魔力の高いエルフを選ぶのが常識になっている。 それはこのゲームだけじゃない、他のゲームでも大体そうだ。 『あ、そうなんですか?』 『知らないで選んだの?』 『はい。あんまりゲームとかやらないので、よく知らなくて……』 『じゃ、何でこのゲーム始めたの?』 グイグイと突っ込んで質問攻めをする俺に、豚トロさんはゆっくりとだが丁寧に答えてくれる。 .
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