164人が本棚に入れています
本棚に追加
第1話 始まる
この世に生まれ落ち、
一番最初に見た景色はなんだったのか。
はっきりと思い出せないけれど
触れてしまえば思い出せるのかもしれない。
例えばそれが、
人外のものだったとしても。
例えばそれが、
遙かに遠い、
魂の記憶だったとしても。
月が盈ちるあの瞬間のように
あの日のことも、きっと。
盈月(えいげつ)
ーー それは新月から満月になるまでの月のことを指す
あの日も、やはり、天の月は、満月に近く。
あの頃、『君』と地上から眺めた月と、いまあの空にある月も、さして変わりはないのだろう。
盈月。
それは、『君』と『俺』の記憶に、深く、深く、刻みこまれた月のこと。
その記憶が、俺と君を結びつけるのは、
そう遠くない未来の話 ーー
最初のコメントを投稿しよう!