第1話 始まる

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第1話 始まる

この世に生まれ落ち、 一番最初に見た景色はなんだったのか。 はっきりと思い出せないけれど 触れてしまえば思い出せるのかもしれない。 例えばそれが、 人外のものだったとしても。 例えばそれが、 遙かに遠い、 魂の記憶だったとしても。 月が()ちるあの瞬間のように あの日のことも、きっと。 盈月(えいげつ) ーー それは新月から満月になるまでの月のことを指す あの日も、やはり、天の月は、満月に近く。 あの頃、『君』と地上から眺めた月と、いまあの空にある月も、さして変わりはないのだろう。 盈月。 それは、『君』と『俺』の記憶に、深く、深く、刻みこまれた月のこと。 その記憶が、俺と君を結びつけるのは、 そう遠くない未来の話 ーー
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