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会話が噛み合うこと、ウケること、趣味、共通項は予想外に多かった。
僕は基本的に自分が楽しむことを想定することがものすごく不得手だから、彼女の楽しいこと何てさらに考えられない。
とにかく自分の提案で、自らが楽しめるかどうかがいつも全然わからない。でも僕は、しもべのように、舎弟のように、僕らにとって楽しいことや僕らのデートを提案するんだ。
通常の彼女もまた、自分のしたいこと、行きたい場所が思い浮かばない。彼女にとって大概のことが新鮮で、たとえばコンビニでおでんを買うこと、それをシェアすることは彼女の大きな喜びになる。
自分が選んでつけたTV番組はほぼ最後まで観ずにねむってしまう。けれどひとから薦められた映画などは、どんなにシラけた表情でもきっちり映像を把握している。素直に感想まで説明してくれる。
彼女は彼女のすきなひとのすきな物事に興味があって、主体性がなくて自分がナイような僕といると、彼女はただのお姫さまみたいにだんだんと、自然に大ウケすることがなくなってくる。そうして僕もそうなる。
僕は彼女にひどく惹かれるからそうなる。
ただし彼女は、コンビニのおでんを1人で楽しめない。どんなにすばらしい景色も、音楽も、食事も、何もかも彼女1人では灰や錆になって彼女の手許からこぼれていく。
そうぼんやりしすぎた覚束ない主体性まで彼女は僕に似ている。
私といてどうして楽しいと彼女はきく。
僕はまだ答えられない。どうして彼女のことがすきなのか、答えられない。
僕はよく結婚相談所に行く。
いつか僕は答えられる気がする。
結婚相談所のビルに、よく猫がいる。たまにふえている。きっといちばん最初の猫はカウンセラーの飼い猫だ。
その猫は真っ黄色の首輪をしている。園児の帽子とおなじ、山吹に近いオレンジのような真っ黄色の首輪の色が僕の脳裏からはなれられなくて、僕はここの会員になった。
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