第1章

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「太一くんって、面白いんだよ!算数のノートをね……」 って言ったとき、はっとした。 確か帰り道、太一くんのお姉ちゃんの紗奈ちゃんが、『あんたの算数のノート渡されて……』って言ってた。 太一くんは学校で、間違えて紗奈さんの算数のノートを持ってきたから、返しに行ったんじゃなかったっけ? 太一くんの勘違いだったのかな?それとも……あの時の気まずい空気を変えてくれたんだろうか。 太一くんは太一くんなりに、歌音ちゃんを助けたいと思っているのかも。 突然黙り込んで、ぐるぐると考え出したあたしを不思議そうに見たおばあちゃんだったけど、リビングの壁に掛けてある時計を見ると、 「そろそろ夕ご飯の支度をせんといかん。美桜も、早う宿題やらないかんよ」 って、ソファーからゆっくりと立ち上がった。 「おばあちゃん!宿題終わったら、あたしも手伝うから!」 私は2階にある部屋への階段を駆け上がりながら、おばあちゃんに言った。
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