第2章

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初登校の日から1週間ほど、雨の日が続いた。 ママは、晴れた日には何かを探すように目を凝らしながら窓の外を見ていたくせに、雨の日の外には興味がないようで、ちらりとも見ない。 「おはよー!美桜ちゃん!」 学校の玄関で、上履きに履き替えていると、1週間ですっかり仲良くなった中村葉月(はづき)ちゃんに、声をかけられた。 「おはよー!葉月ちゃん!今日も元気だねー」 仲良くなったきっかけは、女子中高生を中心に人気のあるアニメの中で、好きなキャラクターが同じだった事だった。 しかも、主人公の女の子じゃなくて、妄想の中で女の子を励ましてくれる、クマのぬいぐるみをモチーフにしたキャラクター。 引っ越すときにななちゃんがくれた、関東限定デザインのクリアファイルを持っているあたしに、葉月ちゃんが話しかけてきたんだ。 「それーーーー!ベアハナちゃんの関東限定のやつやん?ちょっと見せて!」 移動教室で音楽室に行くときに、葉月ちゃんが私にぶつかるくらいの勢いで迫ってきたときは、すごくびっくりしたけれど、同じ感性を持っているらしい私たちは、すぐに仲良くなった。 ついでに家も近所らしくて、学校からの帰り道もお互いの家を目前にして、ずっと話しをしていた。
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