第2章

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「昨日の放送見た?もうさー!早く告っちゃえばいいやんねー!」 「だけど、あのままじゃまだ無理だよ。もう一波乱ありそうな気がするんだよねー」 二人で盛り上がりながら、教室へと向かう。 朝の小学校の中は、大声で話をしても聞こえないくらいの喧騒だ。 眠たくて元気がないのは家だけの話で、学校について友達と会うと、不思議と眠気も吹き飛んでしまう。 結局、教室についてそれぞれの席に着くまで、私と葉月ちゃんはずっとアニメの話で盛り上がった。 「おはよう、美桜ちゃん。葉月の大声、遠くからも聞こえてたよ」 太一くんが、前の席から振り返って言った。 「ホントに、葉月は馬鹿みたいに声がでかいよなー!」 太一くんの席に遊びに来ていた、太一くんと同じサッカークラブの坂本湊人(みなと)くんが、葉月ちゃんに聞こえるようにわざと大声で言うと、葉月ちゃんも、 「みーなーとー!聞こえとるよ!その馬鹿でかい声がね!」 と言い返す。 葉月ちゃんと湊人くんの言い合いは、もうおなじみの光景で、一日に何十回となく繰り広げられる。 初めはびっくりしたけれど、今では何だか二人が楽しんでいるように見えるから不思議だ。
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