第2章

8/17
前へ
/199ページ
次へ
あの歌音ちゃんでさえも、しっかりと顔を上げて、心なしか晴れやかな顔をしているように見える。 私は、宝良島のことも、そこに分校があることも今日初めて知ったから、なんだか一人取り残されて、寂しい気分だ。 「先生!『りん』も来ますか!?」 突然聞こえた『りん』の文字。 発信者はやっぱり愛姫ちゃんで、取り囲むように集まっていたいつもの3人も、興奮気味にじっと先生を見つめているし、どうやらクラス中が先生に注目しているようだ。 私も思わずみんなにつられて、じっと先生を見つめた。 「もちろん!今回は、やっと凜人(りんと)くんも来るわよ!」 さっきよりも、また一回り大きな声で、みんなが騒ぐ。 『静かにーーー!』なんて言う先生の大声さえも聞こえないような、大歓声だ。 「5年生!うるさいですよ!!」 隣の4年1組の先生が、ずり落ちそうな眼鏡を人差し指で押し上げながら注意しに来た。 厳しいって有名なベテランの女の先生に、本田先生は『すみません!』って言いながら、ぺこぺこと頭を下げる。 いつも笑顔の本田先生も、さすがに申し訳なさそうな顔だ。 みんなも我に返り、まずいとばかりにこそこそとそれぞれの席に戻った。
/199ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加