サクラノミチ

第２章

「だけど５年生は、その、『凜人くん』？だけじゃないでしょ？湊人くんはさっき、『５年生は２人いる』っていってたよね？なのに、なんで『りんの島』なの？」

太一くんと湊人くんの説明の間に、私の席に走り寄ってきた葉月ちゃんに聞いた。

今朝から何度も私の好奇心を邪魔してきたチャイムを気にして、ついつい早口になる。

「りんはうちらにとって、特別やけんねー。運動神経は抜群やし、明るくて、面白くて、色んな人に優しくて。顔もイケメンやけん、モテるしね」

チャイムなんか気にしてないように、葉月ちゃんはゆっくりと話を続ける。

「こっちに来た時はいつもみんなの中心におるよ！美桜ちゃんも、すぐに仲良くなれると思うよ」

明るくて、面白くて、優しいなら、太一くんだって同じじゃないのかな？クラスでもモテるみたいだし、顔もイケメンだと思う。

太一くんよりも人気者なのかな？おとぎ話に出るような、王子様系？それとも、テレビに出てるアイドルみたいな感じ？

次の授業が始まってからも、まだ見ぬ『凜人くん』への興味は膨らむばかりだ。