第2章

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「明日の交流授業では、12月にある文化発表会の出し物について話し合いします」 島のことや分校のこと、謎だらけの『凜人くん』のことが頭の中をグルグルと駆け巡り、危うく先生の話を聞き逃すところだった。 この学校で12月にある文化発表会では、全学年の生徒達が、合唱や劇をしたり、校外学習のまとめを発表したりするらしい。 保護者も見にこられるらしくて、運動会に次ぐ大きなイベントだと、学校説明の時に聞いた。 「今年は分校の子達も参加するから、いつもよりもっと楽しめるわよ!みんなも何をしたいのか、しっかり考えてきてね!」 夏海先生が、4年生のベテラン先生に謝っている光景を見たばかりのみんなは、コソコソと、でもやっぱり少し興奮気味に、周りの席の友達と話し始める。 4年生の時は詩の朗読、3年生では劇をやったよね、なんて声があちこちから聞こえてくる。 何だかすっかりこの空気に置いていかれたように感じて、私はまだ見ぬ『宝良島』の方に目を凝らして見たけれど、島さえも私を拒否するように、大雨に遮られている。
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