第2章

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前におばあちゃんが言ってた『本当の晴れ』って、今日みたいな日の事なんだな、って思えるくらい、本当に今日は天気が良い。 太陽はしっかり出ているけれど、もう冬に近い秋の風は爽やかで、雨や化学物質でくすんでいた景色も、今日は色鮮やかに見える。 「おばあちゃん……ママが……」 起きてすぐに見た、あの衝撃的な光景を思い出して、心が重くなる。 全部言わなくても、おばあちゃんは分かってくれた。 「宝良島を、見よるとやろ……。引っ越してきてから、初めて綺麗に見えたけんね」 おばあちゃんも、何だか少しだけ寂しそうな顔つきだ。 ママが、宝良島とどんな関係があるのかは分からない。 だけど、あの涙を見てしまったから、今はまだその答えを聞くだけの勇気もない。 「お母さんが美桜に話せるようになるまで、もうちょっと待っとってあげて」 おばあちゃんはまた、いつもの笑顔でそう言った。 こんなにも晴れやかないい天気なのに、私の心の中の曇りは晴れなかった。 それどころが、何だか昨日よりもひどくなっているみたいに感じる。 ずん、と重い心を抱えたまま、私は学校の準備を始めた。
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