第2章

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雲一つない一面の青空だけど、朝の気分を引きずったまま、私は足元を見ながら通学路を歩く。 ようやく私を迎え入れてくれるように感じていた校門も、今日は転校初日に感じたように、薄い透明な壁があるような、そんな疎外感を感じる。 交流授業を楽しみにしてる葉月ちゃんが、朝からテンション高く話しかけてくるけれど、やっぱりそこにも壁を感じていた。 「美桜ちゃん!交流授業、楽しみやね~!文化発表会の出し物、考えてきた?」 ……すっかり忘れてた。 「葉月ちゃんは?何か考えてきた?」 教室までの階段を、足取り重く上る。 今までのストレスを発散させるように、登校してから始業までのわずかな時間を外で遊ぶ子供たちが多いようで、学校の中はいつもより少し静かだ。 「う~ん、やっぱり合唱とかかなぁ。劇とかはもう恥ずかしいし、セリフ覚えたりするのも苦手やし」 葉月ちゃんは、ぴょんぴょん飛びながら軽やかに階段を上っていく。 対照的な2人の足取りのまま教室近くまで行くと、教室の中からは賑やかな声が聞こえた。
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