第3章

6/21
前へ
/199ページ
次へ
そんな被害妄想まで考えてしまって、思わずジワリと涙があふれそうになった。 「初対面で失礼って思われても、やっぱクラスメイトやったらみんなと同じ仲間やろ?一人だけ『美桜さん』なんて呼ぶ方が失礼やないか?」 涙がこぼれるのを気付かれないように、下を向いた私の頭上から聞こえてきたのは、そんな凜人くんの優しい声。 びっくりしたのと同時に、その暖かな声に更に涙があふれそうになる。 「そうね。美桜さんは転校してきてまだ日が浅いけど、立派な私たちの仲間よ」 先生が言ってくれた。 みんなも先生の方に一斉に目を向けたから、誰にも見られないうちに、手でサッと涙を拭いた。 「りんが誰かを『さん』とか『くん』で呼ぶなんて、考えたらそっちの方が変だよね」 太一くんが、笑いながら言うと、みんなも口々に、 「りんに『湊人くん』とか呼ばれたら、気持ち悪かよー」 「りんは私たちの事も初めて会った時から呼び捨てで呼んできたもんね。今まで何にも思わなかったけど、よく考えたら失礼なやつやんねー」 なんて、笑いながら話している。 
/199ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加