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おじさんはオロオロしながら財布から100円を出すと、『これで文句ないだろ!』と言い放って出ていった。
「あ、ありがとうございます」
店員が頭を下げると、『俺は別に…』と助けた本人は恥ずかしそうに笑った。
すごい、あっという間に解決しちゃった。
というか、この人ってハンドタオルをくれた人だよな。
すごく似てる気がする。
ただ、あの時は酔ってたからイマイチ確信が持てないんだ。
「あの……」
話しかけようとした時、『大変お待たせしました。こちらへどうぞ』と店員に声をかけられた。
「あ、はい」
会計を済ませて振り向くと、あの人はいなくなっていた。
2回も助けてもらったのに、またお礼を言えなかった。
おじさんの分のお金を払おうとした自分が情けなくなる。そんなんじゃ解決にならないんだ。
改めてあの人のすごさが分かる。
もしまた会えたら今度こそ御礼を言って、何かお返しをしようと固く心に決めた。
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