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おじさんはよほど腹が立っているのか、お金をカウンターに叩きつけるように置いた。
その内の数枚がバラバラと床に転がる。
店員がすぐに拾ったけれど、どうやら100円足りないらしい。
ちゃんと払ったと言い威張るおじさんと、店長に連絡するから待ってくれと言う店員。
カウンターを挟んでのちょっとした修羅場を、店にいる客が遠巻きに眺める。
店員は気の毒だと思うが、誰も助けようとはしない。
でも……。
おじさんの後ろに並んでいるヤマシロ君だけは別で、店員を助けようとお金が落ちてないか探している。
あー、見ていてハラハラする。
余計な口出しして、殴られたらどうするんだ。
おじさんが店員の制止を聞かずに、商品を持った。たぶんそのまま出ていくんだろう。
その時、ヤマシロ君が自分の財布を開けようとするのが目に入った。
まさかお金を払うつもり?
普段だったら俺も見ているだけだと思う。店員は気の毒だと思うが、とばっちりを受けるのなんてごめんだから。
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