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らしくないのは分かってる。
「君が払う必要はないから」
俺はヤマシロ君の手を押さえていた。
そして、おじさんに向かって窃盗だとかもっともらしいことを言った気がする。
実は内心ドキドキであまり覚えてないんだ。
間近で見るヤマシロ君があまりにも印象的で、触れた手が温かくて、頭が一杯になってしまったから。
「これで文句ないだろ!」
おじさんの声で我に返り、ヤマシロ君から手を離す。
いつまで触ってるんだと文句を言われなくて良かった。
店員にお礼を言われて、笑ってごまかす。
君を助けるつもりじゃなくてごめん。
「あの……」
ヤマシロ君が、上目使いで俺に話しかけてきた。
尊敬の眼差し?
キラキラして眩しすぎる。
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