ボルダリングジム

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回れ右して帰ってしまいたかった。 だって、俺にはとても出来そうにないから。 開いた扉の奥には、見慣れない光景が広がっていたんだ。 「えっと、あの……」 「どうぞ、どうぞ。ボルダリングは初めてですか?」 「はい。……ボルダリング?」 びっくりしすぎて、まともに答えられない。 だって、床にはマットがひいてあり、カラフルな壁には色とりどりの石みたいな物が所せましと張り付けてあるんだから。 テレビで見たことはあるけど、実際に見ると迫力が違う。 というか、ジム違いだ。 俺はトレーニングマシンがある普通のスポーツジムだと思ってたんだ。 後ろに数歩下がると、「うわっ」と誰かが叫んだ。 「あっ、すみません」 どうやら後ろから来た誰かにぶつかってしまったみたいだ。
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