マイナスから始めよう

出会い

ここは今話題らしいオーガニックのイタリアンレストラン。

田岡さんが雑誌を見て気になってたらしく、幹事を引き受けてくれたんだ。
値段は高めだけど、全ての材料がオーガニック栽培の物を使っているので体にもいいらしい。

熱々のマルゲリータが運ばれてきて、みんな目を輝かせる。
サラダやパスタ等をシェアしながら、俺たちは近況を話していった。

酒が進むにつれ、話題は仕事から離れていく。

合コンが上手く行かなかった事や、遠距離になった不安、社内にいるイケメンについて等、みんなワイワイと楽しそうだ。

俺は静かに飲みながら、みんなの話を聞いているのが好きなんだ。

「ねえ、山城君は彼女できた？」

「あーいや。今は仕事に慣れるのに必死で、ちょっと考えられないな」

「そうなの、もったいない。
山城君って、社内で結構人気なんだよ」

田岡さんがワインを飲みながら教えてくれた。あれ、ちょっと酔ってるのかな？
いつもよりペースが早い気がする。

「山城、飲んでないな。
はい、これやるよ」

既に出来上がっている山中が、俺に無理矢理赤ワインのグラスを押し付けてきた。