出会い

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……ハンカチ忘れた。 気がついたのは、既に顔を洗った後だった。 朝ギリギリで、ハンカチまで気か回らなかったんだ。 仕方なくペーパータオルで拭こうとした途端、白いハンドタオルが目の前に差し出された。 「これ、良かったら使って。 貰い物だけど、新品だから」 「ありがとう」 俺はありがたくハンドタオルを受けとり、顔を拭いた。 「助かったよ。 どうやって返したらいい?」 同じくらいの年齢の男に尋ねると、『貰い物だし、俺はいらないから使って』と言って行ってしまった。 冷たい水のお陰か、少し気分が良くなったので、席に戻る。 途中タオルをくれた男が連れの男と話しているのを見かけた。 ピシッと背筋を伸ばして熱心に話しているので、仕事中なのかもしれないな。 さっきはよく見なかったけど、にこやかに話す彼は整った顔をしており、細身だが引き締まった体にスーツがよく似合っていた。
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