6人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「嘘つかないで。見てたよね?私たちのこと」
「…………」
何となく思い出してた。
数日前に目にした、情景。
この女の、家の庭の片隅にある納屋。
学校帰りに、たまたま門の前を通りすがった時、ガタンッ!
農作業用の道具なんかしか置かれてないはずの、その小屋から
ただならぬ物音が聞こえた。
ネコかイタチか、それともタヌキか…
動物が荒らしてるなら、追い払ってやったほうがいいよな…
軽い気持ちで、中をのぞき込んだら
一組の男女がモゾモゾ…抱きしめあってた。
あ然とする。
壁に肩を押しつけるような体勢で、ピタリと男の首に両腕を巻きつけてる
その女が誰かは、すぐにわかった。
同級生で、幼なじみの…この家の次女の……
そして
こちらに背を向け、熱心に女と口づけを交わしてる
その相手が誰かも、すぐにわかった。
一年ほど前に、この家の長女が結婚相手として、都会から連れてきた男‥‥
つまりオレは、あの日あの時あの瞬間
この高圧的で勝気な女に、見せつけられたわけだ。
姉の旦那で、義理の兄である男との、ちょっと尋常じゃないラブシーンの様子を。
最初のコメントを投稿しよう!