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「お姉ちゃんに頼まれたって、絶対やめないよ私。
あの人に〝別れよう〟って言われたら…考えるけど」
潮風に吹かれながら、凛とした声で、女はキッパリそう言いきった。
「ふぅん」
なんだ、それ。オレは呆れる。
「知ってるでしょ?仲悪いの。
みんなお姉ちゃんばっかり可愛がって、ひいきするんだもん」
それはオマエの性格に問題あるからなんじゃないか?
という言葉を、オレはのみこんで‥
「じゃ好きにしろよ。
あんな奴の、どこがいいんだか知らないけど」
旦那も旦那だろ。さいてーなゲス野郎。
「田舎くさくないとこ。
大人っぽくて、仕草とか、かもし出す雰囲気カッコイイとこ。
アンタとは正反対」
最後のとこは余計だ。
オレだってオマエが思ってるほど、案外ガキでもねぇんだよ。
なんだか妙に疲れた気分で、タメ息ついたら
探るような目で、こっちを見てきて
「…怒らないの?」
「どうして怒るんだよ」
「私が悪いことしたら、いつも文句つけて、説教してくるくせに」
…ということは、コイツにも罪の意識はあるんだな。いちおう。
「オレべつにオマエの保護者でも何でもねぇから」
どちらかというと下僕みたいな扱いだろ。
「変なの」
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