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「テオドアくん」
ずっと避けてきたというのに、今日はタイミングが悪かったみたいだ。
「はい。なんですか」
立ち止まり、凛音を見下ろす。
最近の凛音は、嫌味なくらいに……麗に似てきていた。
髪形も笑顔も……だから、すぐに顔を反らす。
「あのね、ちょっと相談したいことがあるんだ」
上目遣いで僕の様子を伺ってくる。
「どんなことですか?そもそも、僕なんかでいいんですか?」
そう言いながら、僕は自分の部屋のほうを見る。
―――早く、彼から離れたい。
「テオドアくんじゃなきゃ、ダメなんだ」
そう言って、僕の腕を掴む。
ギュッと力を込めて来たから、掴んだところを見ると、少しだけ手が震えていた。
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