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「いや――やっぱり手羽先やな!むぐむぐ!あ、おね―さ―ん!もう一皿頼んます!」
「オーちゃん、食べ過ぎじゃね?ダイエットは?」
「武彦――!俺の辞書にはダイエットという文字は無いっ!肉を食わずしてドラマーで居れるか――っ!肉肉肉肉肉」
「わかったわかったって!せめてもう少しゆっくり噛めな?」
「あほ――!まどろっこしい事してられっか――!この大石にとっては肉は飲み物や――っ!」
「オーちゃん……やめとけって」
「武彦――!このひょろひょろイケメンめ――!お前こそ肉を食え――っ」
「やめろよ――!うわああ」
ヒロ達は打ち上げの真っ最中だ。
オーちゃんは、顔は全く赤くないが相当酔っているし、武彦はそんなオーちゃんの相手に苦労していた。
「ハッハッハッハ!最高のライブやったな――ヒロ!俺は今日のお前に95点をやる!」
銀川もかなり酔っている。いつもに増して口数が多くて、絡んできてかなりウザい。
「……5点の減点はなんでだよ」
ヒロは憮然としながら串アサリを頬張る。
「う――んそりゃお前、最高だったけどさ――あれだよ、あれ!
あの中盤の時のガーっていう所を、もうちょい、ぐわーっ!てしたほうが、いいと思うんや」
銀川は謎の身振り手振りを交えヒロの目をガン見して熱く語る。何を言ってるのかさっぱりわからない。
それはいつものことなのだが。
ヒロは店の外が気になりちらっと見た。
「ヒロ。千波ちゃんまだ戻ってきてないなあ――様子見に行ったほうがいいやろ?」
武彦が生ビールを飲みながら、ヒロと同じく店の出入り口を振り返る。
今日は早くホテルに戻って休ませるべき、というヒロの主張もむなしく、千波は他のメンバーに強引に打ち上げに連れてこられてしまったのだ。
「少し外の空気を吸って来ます」
と言って、席を外してから20分。
確かに遅いかもしれない。
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