遅れた告白

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「はい!実は、今日はそのお願いをしに来たんです!」  宮本はきっぱりと言った。 「おい!お前千波目当てかっ!?怖がらせたり、何かしたら許さんからな!」  ヒロが宮本の胸ぐらを掴み低い声で凄むが、彼は動じない。 「鈴木を好きなんですね……でも、だからって俺が諦める理由には……ならない筈です」 「……何やて?」  ヒロが声を荒げる。ペコは、いつの間にか持ち出してきたスピーカーでアナウンスを始めた。 「皆さんー!マウンテンレコードなんば店に起こしいただき、ありがとうございます!  かねてからスタッフを募集していましたが、今!ニューフェイスが誕生しました!  宮本龍之介君、宮本龍之介君です!  ……これからますます、この店を盛り上げたいと思います!  よろしくお願いします!ほーっほっほ」  ヒロと宮本は、お互いに目に見えない火花を散らしあっているようだった。  千は、またしても頭が痛くなる。 ――宮本君が店に来るなんて……  それを知った時の、里沙の怒り狂う様子が容易に想像できた。
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