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「そんなに見つめられてもこまるんだけど・・・どうしたの?
「あ、ごめんなさい。ただ、ちょっと考え事してて。」
彼は何も言わずまた微笑んだ。
そして私は何を思ったのか、こんな言葉を口にした。
「あの、帰るところないなら、私の部屋来ますか?ソファでよかったら使っていいですよ?」
「そうやって男を部屋に上げたらダメだよ?女の子なんだから自分を大事にしないと。」
断られているのかどうか、私にはわからなかったが、帰る場所がないこの人のことをなぜか放って置けなかった。
「確かに、誰でも男を部屋にあげるのは無防備かもしれ無いですが、あなたは何もしないと思ったから言ったんですよ。誰にでもいうわけじゃありません。」
彼はまた微笑み、私のじっと見つめて言った。
「俺、稼ぎ無いし、何にもお返しでき無いよ?」
「お返しなんていらないですよ。とりあえず今晩だけでも泊まっていきませんか?今夜はかなり寒いので、そんな服じゃあ凍え死んじゃう。」
「あー大丈夫だよ、寝るときはダンボールに包まったらあったかいんだ。」
その言葉を聴いて私はもう我慢できなくなってギターをすでにしまって肩に背負っていた彼の手を引いて自分のマンションの方向へと歩き出した。
「わかった、わかったから手を離して?ちゃんとついていくから。」
そう言って彼は観念したのか、素直に私の横を歩き始めた。
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