第一章 改札のBGM

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ため息をついて彼は素直に私にシャワーがどこにあるのかを聞き、私が昔使っていてまだ捨てていなかったピンクのバスタオルを持って風呂場に向かった。 シャーっと水の音がして、彼がシャワーを浴びていることを確認して、私は冷蔵庫を開けた。 昨日おかずと一緒に食べた白ご飯が二人分くらい、ベーコン、卵、ネギ、ウィンナー。 完全にチャーハンコースだねこれ。 私もお腹すいたし、少し食べよう。ちょうど材料を出して、炒め始めたくらいに、彼がシャワーから出てきていた。 「上がったよ。ありがとう。」 「早くないですか?」 「水を無駄にしたくなかったから。お金かかるでしょ。」 「そんなこと気にしないでください!怒りますよ?ちゃんとシャンプーとかリンスとか体洗ったり洗顔とかしましたか?」 「大丈夫、それはしたよ。しなかったら怒られるだろうなって思ったから。ところで、ベランダある?タバコ吸ってもいい?」 何でお風呂に入ったあとすぐにタバコを吸うのかと思う女の子は多いらしいが、私は元彼が吸っていたため、特にきにすることもなく、むしろなぜホームレスなのにタバコを持ってるのか気になったが、聞か無いことにした。 「元彼が使ってた灰皿、多分まだベランダに置きっぱなしなんで、ベランダからとってきてテーブルで吸ってくれていいですよ。」 「いや、外行くよ。部屋の中で吸ったら臭いがつくし。」 「大丈夫ですよ。元彼も吸ってたので。」 「いや、これは外に行かせて?」 「わかりました。ご飯できたらまた呼びますね。」 「ありがとう。」
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