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そうこうしてるうちにごく普通な一般的で味も平均的な平凡なつまらないチャーハンができた。
彼を呼びに行こうとベランダの入り口のスライド式ガラスに手をかけた時に彼の歌声が聞こえてきた。
英語で何かを口ずさんでいるようだ。
静かにスライド式ガラスを開けて、私は彼の横に立って彼の歌声を聞いた。
十秒くらいして、彼は歌うのをやめ、私を見て微笑んだ。
「ご飯、できた?」
「できましたよ。食べましょう。」
「うん。ありがとう。」
何も話さずに静かに彼はチャーハンと食べた。
きっと本当にお腹すいていたんだろう。
普通はここで美味しいとか言ってくれたらちょっとロマンチックな雰囲気がでるんだけどなあ、なんて考えながら私は自分のチャーハンを食べた。
そういえば、名前、聞いてなかったな。
「私、綾子って言います。あなたは?」
「ケン。」
気づいたら彼は食べ終わっていた。
「美味しかったですか?」
「うん、かなり。ありがとう。久しぶりのご飯だったから、がっついちゃったよ。」
「それは良かったです。」
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