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急速に二人の心が惹き寄せられたということなんだと思う。
私の視線を追うように隣の胡桃を覗き込んでいる酒居くんの瞳が優しく緩む。
私の"彼"は毎日顔を合わせている人だよ、なんて今はまだ勿論言えないけれど、私は笑みを浮かべて酒居くんに頷いて答えた。
その時はあり得ないくらいの衝撃を与えてしまうと思うけどどうか受け入れてください、と願いを込めて微笑み返した。
一頻り泣いて落ち着きを取り戻したのか胡桃はいつもの彼女に戻ったので、それからは同期会のように楽しく過ごすことが出来た。
入社以来ずっと同じフロアで過ごした私たちは共通の話題も多く、笑いが絶えない時間だった。
同期関係の延長のようだけど幸せなことを溢れさせる二人との楽しい時間を過ごした私はぽかぽかした気持ちのまま帰宅し、お風呂も済ませて布団に入ってから胡桃からの話を彼に報告していた。
「…へぇ、あいつらがねぇ。」
「うん。酒居くんの隣にいる胡桃が見たことないくらい"女の子"してて、凄く可愛くて幸せそうで…今までずっとそばで見てきた二人だったのに、なんか不思議な気分だった。」
いつものように彼の腕に包み込まれながらそう伝えると、フッと息を漏らした気配に気付き顔を上げたら優しい微笑みで見下ろされていた。
「お前だってきっと、俺とのことがみんなに知れたら同じように言われるぞ?」
「ん、そうなのかも…でもそれよりも、どんな反応が返って来るのかちょっと怖い、かな…。」
素直な気持ちを溢すと彼の大きな掌が優しく頭を撫でてくる。
「大丈夫だ。俺はいつでもお前のそばにいる。何があっても俺が守る。それは俺だけに許された特権だと思ってるから…。」
彼の熱い言葉がじわじわと胸に染み渡っていく。
「このポジションだけは誰にも渡さない。」
視線を逸らすことなく言葉を降らせてくる彼は上半身を起こして私を見下ろしてくる。
そんな彼の瞳に吸い込まれるようにして見つめ返す私は、その中に熱いものを見つけた。
いつだってこの人は私のことを一番に考えてくれる。
この人の声が体温が…この人の全てが最上級の安心感を与えてくれる。
こんなに素敵な人と想いが通じ合えている私という人間まで愛しく思えてくるから不思議だ。
私の顔のそばに腕をつき覆い被さって、ゆっくり優しく頭を撫でてくれる彼が愛しくて堪らない。
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