第1章

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連絡事項が伝えられていなかったり、わざとミスするように嵌められたり、それはそれは酷かったらしい。 特に人事部主任であるお局様と総務部のお局様含む一部のグループが酷かったそうで、周りに助けを求めたくても捲き込まれたくないと見て見ぬふりをする人ばかり。 一人前に仕事が出来るようになれば変わるかもしれない… そのうち見兼ねた課長や部長が何とかしてくれるかもしれない… 管理部門本部長の耳に入れば変わるかもしれない… そう思ってイジメに耐えながら仕事を頑張っていた。 三階の営業部門に配属された深海さんもモテる人で女子から注目を浴びていたが遥さんにしか興味がなく、二人は夏前に自然な流れで付き合い始めた。 しかしバレたら妬まれ更に苛められるかもしれないことを懸念して、二人は内緒の社内恋愛をすることにした。 彼氏である深海さんは遥さんから相談を受けて、自分も忙しい中時間を見つけては彼女を慰め、励まし続けた。 そのうち状況が変わるかもしれないと思っていたのに課長や部長は何もしてくれる気配がなく、 管理部門本部長に至っては助けるどころかセクハラをしてくるようになった。 それを目撃した女子社員たちは『本部長のお気に入り』『身体を使って特別扱いしてもらってる』と陰口をたたくようになり、イジメは酷くなる一方だった。 夏が終わり…秋も過ぎて冬に入ってもその状況は改善されることがなく、遥さんは精神的にボロボロになり食事も睡眠も取れなくなっていた。 唯一、人事部の男性先輩だけが見兼ねてこっそり仕事を手伝ってくれたり気にかけてくれていて、遥さんはその先輩にだけは信用出来ると判断して深海さんとのことを明かしていた。 その先輩は遥さんの知らないところで深海さんに状況報告をしてくれたりしていたけれど、もうこれ以上は無理だろうと話し、それを聞いた深海さんは遥さんに退職を勧めた。 『無理して此処に拘らなくても遥らしくいられる所を見つけた方がいい。会社は離れても俺はずっと遥の傍にいるから』 自分でも限界だと感じていた遥さんはそれに素直に応じて12月いっぱいで退職した。 退職後半年くらい身体を休めて体調を整え、今はインテリア家具の会社で一般事務をしている。
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