第1章

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遥さんが苦しんでいた時、深海さん自身も一年目で仕事を覚えることでいっぱいいっぱいだった為、遥さんを上手くフォロー出来ない自分に苛立ちもがいていたそうだ。 だから唯一助けてくれた先輩には、本当に感謝してるんだと以前話してくれた。 『その先輩がいなかったら俺も遥も潰れていたかもしれない』と。 『だからお前のことも放っておけない。俺が出来ることは手助けしてやりたい』とも言われた。 別に私は周りに苛められているとは思ってないんだけど…。 私は自分から周りに距離を置かれるように仕向けているだけなのに…。 自分が指導係になった新入社員の女の子が変わっていると遥さんに話すと、『会ってみたい。会わせて!』と言われ、私と遥さんを会わせることになった。 最初から壁を作らず普通に接してくれた深海さんと同様遥さんも人懐こい笑顔で接してくれて、私たちが打ち解けるまでに時間は掛からなかった。 こういうのは理屈じゃないんだと思う。 大学時代のバイト先の店長さんと奥さんがそうだったように…深海さんと遥さんは私の中身を見て理解してくれようと寄り添ってくれた。 そして私が会社に生き残れるようにと二人が知る会社内部のことをいろいろ話してくれて、 『辞めてく奴が文句を言っても、人事部長と管理部門本部長が保身の為に揉み消しちゃうんだ。それを知ってるからみんな泣き寝入りして黙って辞めていく』と。 『セクハラ野郎やお局に取っては居心地いい会社だから退職せずに居座っている。社長たちはこういう状況を知っているから何とかしようと思ってるみたいなんだけど、その前に大阪の問題の方が急を要したんで、本社の問題は後回しになっちゃってんだよなぁ』ということだった。 ウチの会社は早くから輸入雑貨に目をつけていて、国内でまだそんなに注目されていなかった頃から輸入雑貨を扱っていた。 それが急に世間に注目されるようになり、会社が急成長したため仕事に追われ、社員教育が行き届かなくなって最悪の事態を招いた。 毎年優秀な人材を受け入れても悪循環に陥り、簡単に軌道修正出来なくなってしまった。 それが今の本社内部の状態らしい。 『いずれ絶対本社内部は変わるから、それまで頑張って耐えろよ。』 『何かあった時は私たちに愚痴りなさい!私たちは絶対、梢の味方だからね。』 そう言われ、見守られて此処まで頑張って来た。
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