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-今日はなんかいい天気だよな?風も気持ちいいし、星もよく見えるし…こんな場所があったなんて知らなかったな-
-ここは私しか知らない秘密の場所…今でも爺がいない時にこっそりここに来て、こうして空を眺めてるの-
-へえ…俺もその気持ち分かるな-
(夢?いや、違う…)
-本当はこのままずっと一緒にいられたらいいんだけどな…でも、そんな訳にはいかないよな、俺は武士だし、楓は「緋炎城」の姫君だからな、身分の違いはあるけど…今はこうやって二人きりになる事を許されてるから尚更だ…-
-でも、これだけは忘れないで…私は六を愛していることを…。-
-ああ、俺もだ…-
(幻?…いや違う、じゃあ今俺が見てるのは…?)
-ザァァァァ…-
俺はその時何が起きたのか分からなかった。ただ一つを除いては…
気が付けば俺は地面に倒れていた。起き上がろうとする激しい痛みが体中に走った…。
「そっか…俺やられちまったのか…くそ、もう少しだったんだけどな…-血?どっから出てんだ?」
俺は何気なく手を目の前に見せた…するとそこには血がべったりと付いていた-。どうやら無意識の内に傷を触っていたらしい…。
そこで俺は傷の場所を探ろうと体を確かめた…すると背中の所で何か違和感を感じた。
「…背中を一閃か…だからか…血が中々止まんないわけだ…」
俺が感じる痛みは意識さえ奪ってしまいそうになるほど酷く、出血の量も半端なく多い、それにこの冷たい雨が先程から降り続けている…そのせいで少しずつ俺の体力が失っていくのが分かった…。
-俺はもう助からない…。-
その言葉が頭をよぎった…
「…これじゃ、約束守れねぇよ…ごめん、やっぱり帰れない…」
薄れてゆく意識の中…俺は最後の言葉を残そうとしていた…そして…
「…楓…」
何故俺がこのような状態になってしまったのか…。
それは三日前の事だ-
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