2 世界の終わりと始まり

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ある日、窓の外からうめき声のようなものが聞こえた気がして、私は目を覚ました。 一日の始まりと終わりを、窓からの光のみで知る私は、時計などは見ずに、窓の前に積み上がった本の間から漏れる光を見て、ああ夜は明けているのだな、と思った。 最寄りの駅から五分程度の、好立地である我が家は、二階の窓から見下ろせる道を駅利用者が多く行き来する。それでも朝から大声で話すような人間はいない。 普段は基本的には静かなので、うめき声となると少し気になった。 もちろん寝ぼけているだけなのかも知れない。 雨戸もカーテンも閉めるのが億劫になるくらい積み上がっている本を、少し移動してから窓に手をかける。 窓は結露が酷く、外がよく見えなかったので五cmほど開けてみた。
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