2 世界の終わりと始まり

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これはどういうことかと考えてみた。 家の中から聞こえた呻き声。 不可解な行動と、おぼつかない足取り。 映画やテレビゲームの知識だけど、これはまるでゾンビのようじゃないか。 もしかしたら母は既にゾンビ化していて、生前の行動をただ繰り返すだけの骸となっているのかもしれない。 ゾンビウィルスと言う言葉が、急に現実味を帯びてきた。 もし家族がゾンビ化したのだとすると、ここにいるのは危険である。 なぜか素直にそんな気がした。 刺激さえしなければ襲ってくることはないのかもしれないけど、何せ全て与えられたものだけで生きてきた、飼い猫のような私は、飼い主を失えばあとは餓死するのみなのである。 とにかく私は、外に出られる格好に着替えることにした。
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