死人の顔

１ 私の世界の全て

最初、と言ってもすでに記憶の闇に消えかかっているのだけど、その頃は頭髪を洗わないと微妙な重みを感じたりした。

でもだんだん気にならなくなって、最近では数か月経っても何も感じず、むしろ洗ってしまうと頭が軽く心許ないと思うようになっていた。

これはもしかしたら環境適応能力的進化なのかもしれない。

しかし生物学上の女子であるという事実は、十七歳の私にはとても煩わしい問題がある。

それは医学的に月経と呼ばれる生理現象である。

こういうところだけは、自分の意志で偽ることができない

これの対処については母の厚意により、二階のトイレの収納に常に補充される生理用品で一応の難を逃れている。

この関係でひと月に一回程度はシャワーを浴びる習慣があり、考えてみるとひと月に一回は、少なくとも階下に降りているということになる。