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「アンタに会いたかったんだ」
そう言ってゆらりと伸ばされた手に、堪らず指を絡めた。
腰を浮かせてベッドに寝転んでいる燈路の口元に、軽く唇を落とした。
自分を見上げてくる燈路の眼は、やっぱり零れそうな涙で揺れた。
引き寄せられるまま、上から燈路の身体を抱きしめた。
首に絡む腕に力を込めて、燈路が縋りつくように浅井の首筋に顔を埋める。
首筋に当たる唇はやっぱり冷たくて、その身体は、小刻みに震えている。
擦り寄るように甘えてくる身体は、やはり捨て猫のようだ。
「・・・・アンタが欲しい」
首筋に顔を埋めたままの燈路の小さな声が耳に響いた。
「アンタが、欲しいんだ」
搾り出すような切なげな声が、胸の奥に、静かに届いた。
冷たい唇も、震える身体も、寂しげに揺れる瞳も、すべて、溶かしてやりたい。
自分が与えられるものすべてで、あたためてやりたい。
背中に手を回して、その身体を強く抱きしめた。
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