2nd GAME

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「訊いてもいいか?」  食後のコーヒーを飲みながら浅井は静かに口を開いた。  その言葉に、浅井の煙草をくすねようとテーブルに手を伸ばしていた燈路が動きを止めて顔を上げる。  側にあったライターを放り投げると、燈路はうれしそうに煙草に火をつけた。  バスルームから出たあと、いつの間にか用意されていた朝食を食べた。  賞味期限ギリギリの食パンと牛乳と卵で作ったらしいフレンチトーストと、あることすら忘れていたコンソメとワカメのスープ。  ほぼ空に近い冷蔵庫の中身でよく作ったな、と感心して言うと、 燈路は料理は意外と得意なんだと笑った。 「なに?」  ゆっくりと煙を吐き出しながら、燈路が小さく首を傾げた。  訊いていいものだろうか。  自分から言い出したクセに、その先の言葉に詰まる。  誤魔化すかのようにコーヒーを口に含んだ。  視線を向けると、燈路はやっぱり不思議そうに首を傾げる。  小さく息を吐いて、躊躇いがちに口を開いた。 「おまえ、これからどうするんだ?」 「どうって?」 「親・・・・離婚したんだろ?」  その言葉に、一瞬きょとんとした表情を見せた燈路が、すぐに小さく吹き出した。  それにおもわず眉を寄せると、燈路は灰皿に灰を落としながら笑った。 「言いにくそうにするからなんの話かと思ったら、それかよ」 「笑いごとじゃねえだろが・・・・」  呆れたように小さく息を吐くと、燈路は小さく肩を竦めた。 「俺にとってはその程度のことだよ。あの人たちの離婚は時間の問題だったし」 「・・・・」 「ずっと前からお互い他に相手がいたんだよ。母親も週に一、二回帰ってくるくらいだったし、 親父なんて、一年に数回顔見ればいいほうだったしね」  そう言って、燈路はへらりと笑った。  煙草に手を伸ばすと、それに気づいた燈路が手に持っていたライターをこちらに向かって放り投げた。  煙草を咥えたまま、キャッチした安っぽいライターを指でなぞる。  外は快晴。  マンションの前を通り過ぎていく子どものはしゃぎ声。  徐々に遠くなっていくその声はほどなくして消えて、また、静寂が訪れる。  カチカチとライターの火をつけたり消したりを繰り返して、浅井は手を止めた。
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