2nd GAME

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「おまえ、いま浅井ちゃんのとこにいるのか?」  仁に聞こえないよう小さく呟かれた言葉に、おもわず首を傾げた。 「そうだけど・・・・って、あれ?俺、おまえに言ったっけ?」 「いや」  そう首を振って、瀧川は苦笑を洩らした。 「なんとなくそうかなって思っただけ。おまえ、浅井ちゃんには懐いてたからさ」 「・・・・」  おもわず眼を見開いた。 「おまえさ、むかしから、保健室にはよく行ってただろ?ちっとも寝てねえような面して学校きてさ、 そのまま保健室直行。そんで、数時間後にはすっきりした顔で戻ってくる。おまえがどんな生活してたかなんて知らねえけど、 あそこはおまえにとって居心地がよかったんだろ」 「・・・・」 「だからさ、もしかしたらあの場所じゃなくて、必要なのは浅井ちゃんかなって思ったわけ」 「・・・・なんでそう思うんだよ?」 「俺や仁には弱みなんて見せねえクセに、弱ってる姿で浅井ちゃんのいる場所に行くから」  そう言い切った瀧川を見て、小さく肩を竦めて、苦笑を洩らした。 「なるほど、ね」 「当たってるだろ?」  にかりと笑いながら、瀧川は自信満々に胸を張った。  居心地がよかった。  硬いパイプベッドも。  消毒液臭い部屋も。  漂う煙草の煙も。  時折、鼻を掠める、あの大人の匂いも。  その空間すべてが、なぜか安らげる気がしたのは事実。  眠りに落ちて見る嫌な夢も、あの部屋なら、苦痛と感じなかった。  人で溢れる交差点。  いまにも変わりそうな信号を眺めながら、瀧川が静かに口を開いた。 「おまえが戻ってきた理由が浅井ちゃんなら、俺はあの人に感謝するよ」 「え?」  その言葉に顔を上げると、瀧川がゆっくりと眼を細めてこちらに視線を向けた。 「おまえがいなくなると仁が泣くからな」  当たり前のように言われた言葉に、おもわず小さく吹き出した。 「なんだ、結局仁かよ」 「当然。俺の中心はアイツだからな」
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