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「え、だって、迷惑じゃん?俺みたいなのがいたら・・・・」
「誰がいつそんなこと言ったよ」
「いや、普通そう思うだろ」
「じゃあ訊くけど・・・・」
そう口を開いて、浅井は燈路の腕を掴んだ。
「俺が欲しいって言ったのは、嘘か?」
自分を貫く真剣な眼。
見つめられて、おもわず眼を見開いた。
こんな眼は、見たことがない。
「・・・・嘘じゃない」
小さく首を振った。
嘘じゃない。
本当に欲しい思った。
だから、自分は舞い戻ってきた。
「だったら、もっと手を伸ばせ。欲しいなら、どんな手を使ってでも縋りつけ。 もっと、俺を捕まえろ」
「・・・・」
手を伸ばして、もっと、もっと。
二度と離さないように、離れないように。
浅井がさらに力を篭めて燈路の腕を掴んだ。
同時に、その大きな手が、自分の心をも鷲掴みにしたような気がした。
手を伸ばせば届く距離にいる、自分が欲していた存在。
伸ばして、いいのだろうか。
掴んで、いいのだろうか。
その腕に、二度と離す気はないと、縋りついてもいいのだろうか。
そう、これは、もう、ゲームなんかじゃない。
「・・・・アンタが欲しい」
ぽつりと呟いた言葉に、浅井は静かに眼を細めた。
きっと、そういうことなんだろう。
胸の奥に刻まれた存在だから。
二度と消えないほど、深く、深く、刻み込まれた存在。
そんな相手は、一人しかいない。
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