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そして、恐る恐る、
そこら中電気をつけて回った。
「ユキちゃん?」
床に鈴が転がっている。
鈴だけ?
アレ?
鍵は?
私、鍵を閉めずに出て、
落としてきたってこと?
じゃあ、あの鍵…?
ソファの上、私のスカートを敷いて
ふてくされたように寝ている
ユキちゃんを見つけた。
「ユキちゃん、ただいま。」
ユキちゃんは、
立ち上がると、
少しだけ目を開けた。
眉間にシワを寄せて
私をジーッと見つめると、
プイッとしてまた目を閉じた。
「ユキちゃん?」
心配…してくれてたのかな?
ユキちゃん。
鍵は閉まってないぞ!って
教えてくれたのかな。
ありがとう、ユキちゃん。
思わず、抱きしめて頬ずりをした。
と、突然、ユキちゃんは、
うう~と低い唸り声を上げて
ハリネズミのように
毛を逆立てた。
これまでに無いくらいに
目を見開いている。
ユキちゃん?
そのとき
玄関のドアが
ゆっくりと開いた。
あ、そっか。
あの男の人が持ってた鍵が
私の鍵なら…
そして、
あの男の人が、
目の前に
いた。
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