おぷーさま

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 まるまるとよく太り、ぽかぽかとしたお日様の光を浴びている。眠っているのかそうでないのかわからないが、気持ちよさそうに目をつむっているのを見ると、こちらまで暖かくなってくる。  白猫のぷーは寒い季節になると、決まった塀の上でいつもひなたぼっこをしていた。  その塀は大人なら中が見えてしまうくらいに背が低く、内側の家はここ数十年だれも住んでいない。庭は陽当たりが良く、少しくらい寒くても草が青々と元気よく育っていた。草のすき間をよその野良猫が通ることはあるけれど、ぷーは塀の上でじっと目を閉じているだけだった。  前の道はちょうど小学校の通学路になっていたので、放課後の時間になると、小学生が「ぷー」や「ぷーちゃん」と呼んではかわいがっていた。  だれが始めにぷーと呼んだのかはわからない。気がついたら小学生だけでなく、中学生や高校生、近所に住む人やおまわりさん、みんながぷーと呼んでいた。  お日様が少し高くなって、塀に光が当たる時間になると、ぷーはどこからともなく現れる。細い塀の上から体がはみ出すように丸くなり、目を細めてしっぽをだらしなく垂らしていた。その姿はどこか偉そうで無愛想にも見えたけれど、どこか憎めない愛嬌があった。
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