おぷーさま

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 一週間後、今度は友だちと一緒にさゆりちゃんはぷーのところにやってきた。 「この猫知ってる?」  さゆりちゃんはぷーを見上げると、友だちのはるかちゃんにきいた。 「知ってるよ。ぷーちゃんでしょ」 「へえ、ぷーっていうんだ」 「いつもここで寝てるの。なまけものの猫だよ」 「そうなの? でも、ぷーちゃんはひょっとしたら神様かもしれないよ」 「えー、どうして?」  はるかちゃんはきいた。 「だって先週あたし、友だちができますようにってぷーちゃんにお願いしたら、次の日はるかちゃんが話しかけてきてくれたんだもん」 「本当?」はるかちゃんは笑っていたけれど、さゆりちゃんの言うことを信じているようだった。「だったらあたしもなにかお願いしようかな」 「はるかちゃん、なにかお願いごとあるの?」  さゆりちゃんはきいた。 「あたし来月ピアノの発表会があるの。それで緊張しないように――」 「そしたら、お願いした方がいいよ」  はるかちゃんはさゆりちゃんに言われて、両手を合わせてぷーに向かって拝んだ。さゆりちゃんも同じように拝んだ。 「さゆりちゃんはなんてお願いしたの?」 「はるかちゃんが発表会で緊張しませんようにって」  それをきいてはるかちゃんは「ありがとー」と嬉しそうに笑った。
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